昭和21年建築の木造店舗併用住宅のリノベーション工事です。
施主の要望は
・耐震補強をしたい
・2階の寝室に登れなくなった時の居場所を確保したい
・土間の段差を楽に登れるようにしたい
・使いづらい浴室を改善したい
当初は耐震補強の要望で計画がスタートしました。戦後間もない時期に建った木造なので主要な壁が土壁と板壁でした。また、店舗併用住宅だったため道路側の間口が全面開口で壁が全くありませんでした。さらに敷地が狭く、両隣の建物が近接していることから施工性が悪く、外部からの補強工事だけでは、必要な耐力を確保するのが難しい状況でした。
耐震補強工事は家の骨組みを補強する工事となるので、室内側からの補強となると、内壁を一部解体し工事を進めざるをえません。しかしながら耐震補強はあくまでも骨組みの補強なので復旧工事を完璧に行ったとしても、工事前よりも生活空間は良くなりません。住みながらの室内工事は体力的にも精神的にもストレスがかかります。耐震補強ためにその負担を強いる事は避けたいと思いました。
そこで目指したのは、耐震補強を通して、住み心地もよくすることです。
物置の奥に、店舗を営業時に使っていた大阪格子が大切に保管されていました。この格子戸を活かすことが、再生工事の大きなテーマとなりました。また、施主が高齢であることが幸し、介護保険等の助成金と合わせて工事を進める事で単体の工事では実現できなかった生活空間の改良も、行うことができました。
築65年、店舗併用住宅、土壁の家の耐震補強、水廻り改修、バリアフリー、リノベーション