敷地は南北に細長く、南側の道路以外は住宅にはさまれた下町の住宅密集地。しかしながら、今でも近所付合いが当たり前に残っている暖かい土地柄です。建て替える前は昼間でも電気をつけなければ足下も見えないほど暗い家でした。
「道路側に大きな開口をあけたい」、「人目や防犯性も気になる」
そんな矛盾を「格子引戸」で解決し、下町情緒あふれる心地よい住まいにしました。また、建て主は地元で工場を経営している職人でもあります。
「入ってすぐにくつろげる部屋」、「来客が入りやすい部屋」
この要望に対し、格子引戸から程よい明りをとり、土間に設けた吹き抜けからは、太陽の光が和室まで届くようにしました。開放的な玄関土間と和室は住宅のプライベートゾーンと仕切る事ができ、気軽に来客が入って来られる空間としました。
準防火地域の狭小地に建つ木造3階建てなので、準耐火構造や延焼の恐れある部分の防火性能の強化など、様々な規制を受けますが、格子引戸部分は内側のアルミサッシで防火規定をクリアしています。格子引戸があると燃えやすく、火事に対して不利だと思われるかもしれませんが、実は延焼に対して木格子が防火上有効に働くのです。格子引戸は意匠面だけでなく、火事に対しても効果的な装置なのです。
土間、格子引戸、二世帯対応、2階リビング、インナーバルコニー、将来介護対応、和モダン