結論から申し上げると、既存古屋を「優良住宅ストック」にすることは可能です。ただ、新築並の費用のかかることもあるので、タウンファクトリーでは改修の要望を整理しつつ、以下のようなアプローチで古屋・空き家のリフォームを進めています。
まず既存家屋をリフォームする時には、将来の展望をイメージすることが大切です。なんとなく工事を着手してしまうと後々、修繕したところを壊すことになったり、無駄な出費が増えることが多々あります。将来の展望を整理した上で改修計画を組み立てることにより、過不足のない改修工事が可能となります。
そして、既存家屋の魅力を引き出すことも重要です。全面的にリフォームするにても、残した方が良い部分があるかもしてません。リフォームの要望と合わせて建物の価値を見極め、最善の解を導き出します。さらに、個人的な資産だけでなく、地域・環境にとってもプラスとなるような、リフォームをご提案します。
■建物の将来の利用状況に応じた改修計画の考え方
[A]長期利用 ⇨ 35年~ :優良住宅ストック
[B]中期利用 ⇨ 20年前後:優良住宅ストック予備軍
[C]現状の維持 ⇨ 10年前後
[D]劣化・損傷の軽減 ⇨ 10年未満
[0]建築的価値 ⇨ 維持・持続
[A]長期利用:優良住宅ストック
⇨ 劣化・損傷の修繕 + 耐震や断熱等、全ての性能の向上 + ライフスタイルに応じた使い勝手の向上
・新築(長期優良住宅)同等の性能まで向上、間取りの変更を伴う大規模修繕(スケルトンリフォーム)
[B]中期利用:優良住宅ストック予備軍
⇨ 劣化・損傷の修繕 + 耐震補強 + 必要に応じた性能や使い勝手の向上
・耐震性能:1.0〜(一応倒壊しない)、断熱及びバリアフリーは部分で対応、設備を一新
・間取りの変更、断熱改修は部分で検討
[C]現状の維持
⇨ 劣化・損傷部を修繕 + 耐震補強を必要最低限実施
・耐震性能:0.7〜1.0(倒壊する可能性がある)
※耐震補強が1.0未満なので、倒壊のリスクを承知の上で利用することが望ましい
・間取りの変更、断熱改修は基本的に行わない。
[D]劣化・損傷の軽減
⇨ 生活に支障のある劣化や損傷を修繕
・雨漏りの修繕、腐朽部材の交換等を想定
・家全体に対する性能評価は行わない
[0]建築的価値
⇨ 上質な設えや素材、将来に引き継いだ方が良い空間や外観
⇨ 所有者の思い入れ、建物のへのリスペクト
・建物と街並や環境との関係性
・建築的な価値を共有(所有者+地域)
・改修時に空間や外観を修繕または復原
・部材を再利用
・イメージの継承
※[A〜D]のリフォーム計画全てにおいて[0]建築的価値の検討を同時に行うことが望まれます。特に歴史的な価値の高い建物の場合は、保存活用計画を決め、価値を未来に継承できるようにします。
※いわゆる「空き家再生」では空き家としての空間利用が先行しがちで、既存の建物の良さを見落としてしまうことがよくあります。リフォームでは規模の大小にかかわらず、まずは既存の建物状況及び価値、街並みとの関係性を把握することが重要です。その上で、建物の価値を共有し、良さを引き継ぎつつ、新たな価値を付加することができれば、より上質な住宅へとリフォームすることが可能になります!