
遠藤新と同じ時期にライトに師事した建築家A・レーモンドも、やはり独立後、東京女子大学のキャンパスを設計しますが、こちらはキャンパス全体が強い通中心性のある配置となっており、中庭の正面にはライト風の本館が鎮座します。遠藤新の南沢キャンパスも各部を見ると中庭を囲う左右対称の建物レイアウトになっており、中心性を持った配置ではありますが、建物のスケール感や意匠は権威的な印象ではなく、包まれるような安心感を産んでいるように思えました。同じ手法でも、配置や構成によって感じ方が変わるので興味深いです。

女子部の食堂では暖炉に火をくべてもらいました。炎がきれいでした。特に何もなくても暖炉を見ているだけで幸せな気分になりますね。暖炉にきれいな炎が出るか出ないかは煙突の設計によるとのことで、遠藤新は暖炉設計の名手だったようです。暖炉周りのこぢんまりとしたくつろぎ空間をイングルヌックと言いますが、先日見学した加地邸にもいい感じの暖炉がありました。いつかはそのような場所をつくってみたいものです。また細部に話が脱線してしまいました……。自由学園の南沢キャンパスは素敵な場所でした。このような学び舎で過ごすことができたら、幸せだろうと素直に思いました。