早いもので、ちくらの会見学会も3回目となりました。9月12日に少し遠出をして、埼玉県川島町の「遠山邸」へ行ってきました。美術館も併設し、財団法人遠山記念館の管理が行き届いていました。特に驚いたのが、建具の状態の良さです。襖は一度も張り替えていないとは思えないほど、今年久しぶりに入れたという簾戸の建具も圧巻でした。(材料は何か記念館のほうでも調査中とのことでした)
遠山邸は「豪農の館」を思わせる東棟、「書院造り」の中棟、「数寄屋造り」の西棟からなります。ひとつの建物で、日本建築の特長が3つ見学できます。そして、中棟の2階は洋室になっており、モダンなアールデコも楽しめます。通常は2階は見学できないのですが、今回は案内の方に付いていただいたので、2階も見学できました。ちくらの会で行くメリットですね。
報告を書くのは遅くなってしまったのですが、9月12日は残暑がまだまだ厳しく、日なたに立っているのもつらいほどでした。そんな暑い日の午後2時という時間なのに、東棟は分厚い茅葺き屋根に覆われているので、なんと涼しいのです。「エアコン入ってないよね」って言い合うくらい。そして、書院造りの1階もヒンヤリとしていました。しかし、屋根を軽やかに見せたい数寄屋の西棟と中棟の2階は暑かったです。温度湿度の不思議を感じました。
遠山邸は、玄関の亀甲模様の人研ぎ、筬格子の建具、腰板の杉板、紅の大津磨き壁、鉄分が変色した蛍壁、、、。もう消化しきれないほどの魅力です。その中で心に残った建具を一枚。
2階の居間の源氏襖です。襖に障子が入った、純日本風なこの取り合わせに、花畑を思わせるような文様が入っています。とても落ち着いたデザインなのに、トントントンとリズムが聞こえるような愛らしさがあるこの建具がとても、好きになりました。また、そっとこの建具に会いに行きたいです。<太田>