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吉祥寺池田石材店解体に

  • 酒井哲の何でもノート
  • 2014.02.02
吉祥寺池田石材店解体

多摩のあゆみ「建物雑想記」2011年11月号で紹介した、吉祥寺の池田石材店が解体となりました。五日市街道沿いのランドマーク的な建物だったので残念ですが、老朽化・耐震性心配から所有者が解体を判断したとのことです。「建物雑想記」がスタートした2004年は多摩に現存する無名の歴史的建造物を読者に紹介することを目的にしていました。当時は純粋に古き良き建物達にこれからも頑張れと未来志向でエールを送る気持ちでしが、連載から10年が経ち建物の置かれている状況も変わってきました。「建物雑想記」を通して「記録を残す」という役目が大きくなっているような気がしています。池田石材店も取材を行った2011年には、極日常の状態を取材しましたが、今となっては記録に残せたことは貴重な機会だったと思います。

写真は上部構造部の解体が終わり、基礎の解体中の写真です。よく見ると、鉄筋ようなものが石の間から確認できます。独立柱の立っていた場所には長い鉄筋が何本も基礎から出ているのです。どうも一部鉄筋コンクリートが使われていたようです。関東大震災の直後に建てられたこの建物は、当時の耐震技術を駆使して建てた建物がだったことがわかります。当時しっかりと建てられたからこそ現在まで使用に耐えたと言えます。

この古そうな池田石材店でも実は築90年しか建っていませんでした。90年とは現在の家づくりにおいて「長期優良住宅」の目指す築年数と言われています。言葉面だけの「長期」ではなく、本当に90年持たせようという気概で家を建てない限り到達できない「長い時間」であることが、この建物から感じることができるのではないでしょうか。下の写真は2011年の取材時の写真です。
池田石材店2011