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教会堂の解体調査

  • 酒井哲の何でもノート
  • 2014.04.13
漆喰R天井

震災で被災した教会堂の解体調査に参加してきました。
海岸沿いに建っていたために津波に遭い、移築のための解体です。

写真は礼拝堂の漆喰天井の切断面です。
去年は意匠(平面や断面、展開の実測)の調査に入りましたが、
その時はこの天井の曲面を室内側から実測しました。
R天井の下地は、木摺と言われる杉板で大まかな曲面をつくって
その上に漆喰で細かい装飾をつくっているのが解ります。
解体調査の醍醐味は天井や壁の内側を実測できることです。

断面をよく見ると、鋼製の火打梁(斜め梁)が見えます。
実はこの建物は明治時代の建物を一度解体し、昭和50年代に移築した経緯があります。
したがって構造には昭和の技術が用いられており、
内部は明治時代の装飾が復元されていたのです。
明治と昭和のコラボと言える建物でした。

決して豪華ではありませんでしたが、
穏やかな曲面による漆喰装飾のある、優しい空間がひろがっていました。
この空間が近い将来に再現されることを願っています。

現在の建築では手間のかかる漆喰装飾を施すことは稀になってしまいましたが、
単純な形状であれば、住宅等にも取り入れことは十分可能です。
大正モダンや昭和レトロな空間装飾としていかがでしょうか。

漆喰装飾を用いたマンションリフォームの実例です。