昭和53年築の木造住宅。住まいの耐震性に不安があったことから耐震改修、そして同時に断熱改修も行うことにしました。元々二世帯用に建てた住宅で、延べ床面積が47坪もあり、子供達が独立した後は使っていない部屋が目立っていました。現在は夫婦二人で過ごしていますが、ご主人が軽度の認知症を患っていました。夫婦が年を重ねても快適に暮らせるように、過不足なのない耐震・断熱リフォームが求められました。
耐震性能は「大地震時に一応倒壊しない」状態を目標にし、断熱性能は家全体ではなく、夫妻の生活に合わせてゾーンを分けて検討しました。断熱改修範囲は寒さを感じやすい浴室、トイレ、洗面脱衣室を中心に、ヒートショックが起こらないことを目標にしました。また、ご主人の生活を考慮して、住みながら工事が行えるように工夫し、新たな水廻を竣工させてから、既存の水廻りを改修する二段階で工事を進めました。
寝室は現在も2階ですが、将来階段を上がる事が難しくなった時のために、特定寝室としても使える多目的室を1階に設けました。多目的室は居間と一間巾の間仕切戸で繫がり、生活の状況に合わせて一体としても使えるようにしました。また、独立した子供達の家族が一同にテーブルを囲むことができるように、食堂の食器棚の移動や間仕切り用のアコーディオンカーテン撤去して生活空間を整えました。
耐震改修は家全体のバランスがが重要となりますが、断熱改修は住まい手の生活範囲に合わせた部分改修も可能です。今回のリフォームでは夫妻の生活をコンパクトに集約しつつ、家族の集いの場も創出しました。
築40年、老後の住まい、耐震補強、断熱改修、珪藻土、ゾーン分け、リノベーション