2つのテナントが共用する水回りでしたが、男女兼用のトイレと流しが一室にまとめられた配置になっていました。便器は2つあったので、一応は男女に分けていたもののブースが隣り合わせになっていただけなので、誰かがトイレを使っていると、他の人が使えない状態でした。また、地下水が床に浸み出ることもあり、環境的に不衛生な状況でした。
今回のリニューアル工事では、地下水の侵入を止めること。そして男女のトイレを分け、トイレを使っている人がいても気兼ねなく流しが使えるように動線を整理しました。
ビルの外壁がレンガタイル張りなので、トイレもレンガをデザインモチーフにしました。レンガは暖かいイメージがあるだけでなく、レンガ積み上げることで耐久性も高く、遮音性のある壁をつくることができます。水周りを清潔に保ち使いやすくし、建物のデザインコードを統一することで、ビルの資産価値も上げる改修としました。
「イギリス積み」と「フランス積み」レンガに少しでも興味を持った方なら耳にする言葉だと思います。町中でも、歴史ある建物や古い塀などで見る事ができます。私たちは模様やアクセントを検討するときに、好き勝手にイメージするのではなく、それぞれのモノの持っている歴史や特性を活かしたものとしたいと考えています。そこで今回は、「イギリス積み」と「フランス積み」をモチーフに積むことにしました。
女子トイレと流しスペースの間の隔壁は「イギリス積み」のパターンにし、レンガを3個ほど凸に出して、アクセントをつけました。陰影ができ、小物を置くこともできます。入口側の目隠し壁は「フランス積み」のパターンとし、一部レンガをずらし穴をあけ、奥が見えるようにしました。単純な材料だからこそだせる、飽きのこない表情となりました。
雑居ビル共用水回りリニューアル、レンガ積み、イギリス積み、フランス積み